映画 マチネの終わりに
他の映画を観に行った時に予告編を観て、とても気になっていたので観てきました。
マチネの終わりに
あらすじ
世界的なクラシックギタリストの蒔野聡史(福山雅治)は、公演の後、パリの通信社に勤務する
ジャーナリスト・小峰洋子(石田ゆり子)に出会う。
ともに四十代という、
独特で繊細な年齢をむかえていた。
出会った瞬間から、強く惹かれ合い、
心を通わせた二人。
洋子には婚約者がいることを知りながらも、
高まる想いを抑えきれない蒔野は、
洋子への愛を告げる。
しかし、それぞれをとりまく
目まぐるしい現実に向き合う中で、
蒔野と洋子の間に思わぬ障害が生じ、
二人の想いは決定的にすれ違ってしまう。
互いへの感情を心の底にしまったまま、
別々の道を歩む二人が辿り着いた、
愛の結末とは―
この作品について
原作は、芥川賞作家・平野啓一郎さんの代表作「マチネの終わりに」。
ラブストーリーでありながら、人生の苦悩、世界の分断や対立といったテーマを織り交ぜ、登場人物たちの心情の変化を緻密に描き出し、大きな話題を生んだ作品だそうです。
アメトーーク!第3回読書芸人の回で、ピースの又吉直樹さんと、オードリーの若林正恭さんの2人がオススメした作品としても知られています。
そもそも、マチネとは?
私は、そこから分からなかったんですよ。
“マチネ(matinee)”はフランス語で、朝・午前のこと。
対義語は夕方、日が暮れた後の時間を表わす“ソワレ(soiree)”。
舞台興業、特にミュージカル、バレエ、オーケストラの公演などでよく使用される言葉。劇場では昼公演をマチネ、夜公演をソワレと呼ぶ。
蒔野は人気のクラシックギタリストですし、パリに洋子は住んでいるので、マチネという単語が使われるのは、この作品では全く不自然ではないですね。
クラシックギターは、アコースティックギターの奏法などとも違うようで、福山雅治さんはギターのレッスンを受けて、英語やフランス語が堪能なジャーナリスト役の石田ゆり子さんは、随分前から語学のレッスンを受けて撮影に臨んだようです。
この作品を観た感想
とても、アーティスティックな作品だと思いました。
作中で流れる音楽は、クラシックギター。
舞台も、東京、パリ、ニューヨークと華やかです。
なにより、主演の2人がとても美しい。
仕草や言葉も、とても丁寧に感じて上品でした。
作中での台詞も、胸に残るものがいくつもありました。
6年の間に会ったのはたった3度だけ。
1つの出会いが、人生を変える。
その人を知らなかった自分には、もう戻れない。
こんな出会いが、人生の中でいくつあるのでしょうか。
大人の昂る恋愛は、静かでいてスマートかと思いきや、とても情熱的でした。
洋子への愛を語る蒔野は狂気じみているけれど、酸いも甘いもかなりの経験を積んでいそうな大人だからこそ、彼の想いの強さや真剣さが伝わってくるようでした。
婚約者がいても、物理的に離れていても、惹かれ合ってしまう想いは大人になっても止めることは難しく、色々な通信手段のツールを使いながら、少しずつ2人は精神的な距離を縮めていきます。
情熱的な想いとは裏腹に、物理的な距離などをはじめ、様々なものに翻弄されていく2人。
あるシーンでは、思わず涙しました。
そうなる運命でした、と言われればそれまでなんだけれど、あまりにも残酷で、これが自分の身に起きたらと思ったら堪らない気持ちになりました。
色々な事実が明らかになっても、彼らは人を責める事は無く、自分の中で苦しみながらも受け入れているようでした。
良い意味でも、悪い意味でも彼らは立派な大人で、人に当たり散らしたりなどもしないので、私には無理だなと思いながら観ていました。
恋愛面も見どころですが、その他にも、2人の職業も独特で、その職業の裏側や暗い部分も垣間見えたり、長年その仕事を続けてきたからこその苦悩なども繊細に描かれていました。
将来、自分も迎えるであろう40代という新しいステージは、どんな風になるのだろうとも思いました。
公開から1週間後の土曜のレイトショーで、この作品を観たのですが、客席ガラガラだったんですよね…
大人の恋愛ですけど、ドラマティックな展開も沢山ありますし、同年代の人々には観てもらいたい。
とてもとても美しい作品だったので、原作も読んでみたくなりました。