君に届け 番外編〜運命の人〜
とうとう単行本になりましたね!
君に届け 番外編〜運命の人〜
あらすじ
高校を卒業した爽子たち。
くるみの前に“運命の人”が――!?
高校卒業後、同じ大学に進学したくるみと爽子。
気乗りしない合コンに爽子を誘って参加したくるみですがそこでおかしな男に絡まれてしまいます。
そんなピンチを救ってくれたのは「えーじお兄ちゃん」。
どうやら爽子のイトコらしいのですが…。
この作品について
2005年〜2017年まで別冊マーガレットで連載されていた漫画『君に届け』の番外編です。
本編『君に届け』とは?
北幌高校に入学した黒沼爽子は性格は良いが、見た目が暗く、長い黒髪のせいで周囲からは「貞子」と呼ばれて恐れられ、クラスに全く馴染めないでいた。
しかし、自身とは対照的な、爽やかで、学年で男女問わず人気者で、噂を全く気にしないクラスメイトの風早翔太と親しくなった事をきっかけに、友情・恋愛・進路などを通して爽子は成長していく。
そんな爽子を中心とした登場人物それぞれの高校生活3年間の青春模様を描く。
そして、今作の主人公のくるみこと胡桃沢梅。
くるみは、本編『君に届け』のヒーロー役の風早くんと中学校からの同級生で、超絶可愛い女の子。
中学時代から、風早くんに想いを寄せてはいますがその想いは伝えておらず、周りからは風早とお似合いと言われながらも仲の良い友達関係をキープしています。
中学時代、誰にもなびかなかった風早くんが高校で知り合った爽子と距離を縮めていく様子を見て、あらゆる手を使って2人の仲を妨害してくる、爽子のライバル役の女の子でした。
天然ピュアなのに見た目で誤解されがちな爽子とは対照的に、フランス人形みたいな容姿なのに、中身はなかなか腹黒いくるみが今作の主人公です。
この作品を読んだ感想
まず言えるのは、可能なら本編『君に届け』を全巻(30巻)読んで欲しいです。
本編『君に届け』のキャラクターや世界観を引き継いでいるし、今までの背景なんかも含めて読んだ方が絶対楽しめるから!!
私の中で最近、本編『君に届け』を掲載していた別冊マーガレットに読み応えが無くなってきて、雑誌自体を買うのをやめていました。
ところが、『君に届け』の番外編が始まるというニュースを見て、買って読んでみたら最高でした。
本編『君に届け』は、約15年前に連載がスタートした作品で、私が20歳前後の時でした。
まだ私も若く、私自身が単純な性格でもあるので、爽子と風早の恋愛を純粋に楽しんでいました。
ただ、もう今ではこの2人の恋愛がピュア過ぎて眩しいですね笑
綺麗過ぎる感じ。
そんな中、この『君に届け』の番外編を読みました。
くるみは、本編では主人公のライバルで恋路を邪魔する役(しかも結構腹黒いやり方で計算高い役)でしたが、紆余曲折を経て、爽子と仲良くなりお互いを高め合う良い関係になります。
爽子は本当に良い性格で、くるみのことを色々と受け入れていますが、くるみは自分自身のことを良く分かっていて、外見以外にコンプレックスを抱いています。
『良い人ではない』私を、自分の好きな人は受け入れてくれるのか、とても怖がっています。
私からしたら、爽子よりもくるみの方がすごく人間ぽい。
外見では散々褒められて来たのに内面を褒められて慌てふためくところ、素直に受け答えが出来ないところや、ツンデレっぷりも可愛い。
あらゆる周りからの印象がマイナススタートだった爽子と、プラススタートのくるみ。
そこも対照的ですし、自業自得のところもありますが、くるみがそのギャップに苦しむのは少し分かる気がします。
少し、屈折しているくるみの前に偶然現れたこの男。
爽子のいとこの『えーじ兄ちゃん』こと赤星栄治。
登場の仕方も勿論カッコよかったけれど、トラブルもスマートに解決する出来るオトコ。
時には強引に、だけど基本は優しい。
自分の気持ちをストレートに伝える、カッコいい人。
えーじ兄ちゃんは、本編『君に届け』の前作に当たる『CRAZY FOR YOU』に出てくるキャラクター。(すごく前に読んだ事はあったけどもうあんまり内容も覚えていない)
そして、爽子といとこというキャラ設定は以前からあったらしいというのを最近知りました…
なので、満を持してこの設定が生かされた訳ですね。
くるみは、爽子を始め、風早に想いを寄せる女の子達を策略を練って悉く恋路を妨害した過去があったり、自分の性格に対してかなり否定的。
過去の行いは変えられないし、そんな自分を許せないでいます。
そんなくるみを、性格悪くなんてない、全然大したことない、とえーじ兄ちゃんは受け入れてくれます。
この2人のやり取りが本当に可愛いし、えーじ兄ちゃんがなかなかの手練れなので、今まで(外見や作ったキャラを受けて)告白されまくってきたくるみもタジタジになります。
自分の欠点を、見つめて受け止めてくれて許してくれて、そして愛でてくれる。
爽子と風早の恋愛もとても可愛らしいですが、えーじ兄ちゃんのそれは、『恋』よりも『愛』に近い感じがします。
『許す』って一番難しいことだと個人的には思うので、読んでいて私もキュンキュンしています。
本編『君に届け』を連載当初から読んでいた、私と同年代くらいの方は、この番外編の方が今は心に響くと思います。
番外編は数ヶ月に一度、『別冊マーガレット』に連載されるので、その時には別マを購入しています笑
椎名軽穂さんの作品は、すごく安定感があって読みやすいなぁと毎度思います。
今回、番外編の1巻が発売されましたが、10/12に発売された別マで単行本の続きが読めます。
私の最近でのオススメは、この作品ですね。
まだ始まったばかりでもありますし、連載のペースは他作品に比べてゆっくりですが、その分とても素敵な作品だと思います。
是非とも、みんなに読んでもらいたい!!