ふつうな僕らの
私の中での、今年前半で一番心に残る作品かもしれません。
個人的に、めちゃくちゃ名作だと思ってる。
『ふつうな僕らの』
湯木のじん
【あらすじ】
「特別」じゃない僕らの、ありふれた恋の物語。
東京から引っ越してきた椿は、春休みに街で出会った一颯(いぶき)先輩を好きになった。
一颯と「普通の幸せな恋」がしたいと、椿は手紙を渡して告白する。
でも、耳が聞こえない一颯は、そのことを知った椿を冷たく突き放し…?
【この作品について】
別冊マーガレットにて連載中の、湯木のじん先生の作品です。
現在3巻まで発売されています。
この作品を知ったきっかけは、某電子版サイトでの『音の無い世界』というテーマに合う漫画を特集しているコーナーで紹介されていたからです。
コーナーの中では、最近私がブログに書いた漫画も取り上げられていました。
森下suu先生の『ゆびさきと恋々』です。
こちらも、素敵な作品です。
『ゆびさきと恋々』では、聴覚障がいのある雪ちゃんが主人公ですが、今回書いている『ふつうな僕らの』では、主人公の椿が恋をする先輩の一颯(いぶき)に聴覚障がいがあります。
『ゆびさきの〜』の雪ちゃんは、確か生まれた時から耳が聞こえないのですが、『ふつうな〜』の一颯は、幼少期に罹患した病によって聴覚を失います。
同じ聴覚障がいでも、その差は大きいのかもしれないですね。
【3巻までを読んだ感想】
まず、私が気になったのは作品のタイトルです。
『ふつうな僕らの』の『ふつう』ってどういうことだろうって。
読み進めるうちに、登場するキャラ達がそれぞれ世間一般の人達の『ふつう』の人生とは、大なり小なり違う背景があることがわかってきます。
その背景や過去の見せ方も好きです。
ダラダラと長く回想するのでは無いのに分かりやすい。
椿以外のキャラは、幼少期より付き合いがあるので、その辺りがまた色々出てくるのかもしれないですね。
それがとても面白いです。
私も『ふつう』とはかけ離れたところがあるかもしれないし、人によって『ふつう』の概念はそれぞれ違うかもしれないけれど…
そして、キャラ設定も好き。
明るくて素直で正しい椿。
臆病で繊細で心優しい一颯。
面倒見が良くて機転が効く桜介。
自分を見失いがちで不安定な奈央。
扱うテーマがいわゆる『ふつう』では無く、シリアスな場面もありますが、椿の明るさがそう感じさせない中和剤の様な役割を担ってくれています。
桜介もそういうところ、あると思うのですが。
なので、私はこの2人の組み合わせも好きです。
一颯は障がいのせいからなのか、桜介は元々の性格なのか、そこに過去の環境なども絡まっているのもあると思いますが、メンズ2人は感情の波が分かりづらいので笑
その分、椿はポジティブで分かりやすくて良いですね。
たまにこのメンズ2人が笑っているシーンがあるとギャップ萌えしますね。
そして、絵も私は好きです。
湯木のじん先生の以前の作品も、別マにて読んだことがあったのですが、今作は格段に絵が綺麗に感じる。
特にメンズが素敵です。
ストーリーは、物凄く派手な展開がある訳ではありません。
学年一モテるキャラが出てくる訳でも無い。
ただ、『ふつう』を願う彼らが、自身が望んだ訳では無く、そうならなかった環境や事実を彼らなりに受け止めて、日々生活をしている。
それだけのことなのかもしれないですが、この作品ではそれをドラマチックに描いています。
独特の空気感が漂っていて、私は好きです。
その生活の中で、周りから見たら些細なすれ違いでも、なかなか解決出来ずに、何年にも及ぶ問題に発展していることなども明らかになっていきます。
やはり、キャラ設定とか掘り下げ方が良いのかなぁ…私はすごく惹きつけられてしまう。
私は発売されている3巻まで読んで、『ふつうな僕らの』の続きが気になって久々に別マを買いました笑
他の作品も面白いのがあったので、また別マも買おうかなと思っています。
最新話では、物語の主人公でもあり、今まで明るく正しく、一颯達の世界に入り込んで来た、椿の仄暗い部分を少し感じさせながら終わりました。
物凄く単純なラブストーリーでは無いので、大人にも読みやすい作品だと思います。
大人になって子供がいるからこそ、一颯の回想を見ていると胸が締め付けられました。
ここ最近での1番のオススメです。
もっと色々な人に読んでもらいたい作品です。
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