学校歯科健診へ行ってきた話。
学校健診へ
先日、高校の歯科健診の補助としてドクターに付いて行きました。
院長が読み上げる歯式を記入するという係なのですが、1学年分なので300人以上の人数を相手にします。
段々シャープペンを持つ指が痛くなりました。
こんな経験、学生ぶり。
何を見ているのか?
まずは口の中を診て、歯の状態を記入します。
歯の本数
抜かないといけない乳歯の有無
虫歯
歯肉
清掃状況
歯並び
顎関節
これらが主にチェックする項目です。
それを300人以上。
流石に全学年はやりきれないので、1学年ごとに日にちを分けて行います。
一番大変なのは、1年生。
それ以降の学年は、去年までの記録があるので少し聞き漏らしても、去年の記録と見比べて記入出来る場合もあります。
ただ、去年の記録が間違ってることもあります。
そこは、きちんと聞き返すようにして再確認しています。
まだ、私は1年生を担当した事がないので恐怖でしかないですね。
チェック項目に引っかかれば、歯科医院に行ってねという通知が出ます。
最近の若い子は、やはり歯並びや顎関節に引っかかることが多いですね。
勿論虫歯がある子もいますし、もう永久歯が生えているのに、乳歯が残っている子なんかもいます。
去年と状況が変わらない
歯並びや顎関節は、去年から変わってない子は割と多いです。
要注意なのは、虫歯。
虫歯の治療をせずに放ったらかしているというのは、非常にマズイ状況です。
歯肉炎は、歯磨きを頑張れば改善する場合も多々あります。
(歯石が付いてる場合は、歯科医院での除石が必要)
ただ、虫歯は治療をしなければ自然治癒することはありません。
今年は虫歯だけど、何も治療をせずに来年には治ってるということはないのです。
毎日、口の中では脱灰と再石灰化という現象が起きていて、虫歯にならないように口の中の色々なところが働いています。
このバランスが取れていると虫歯にはならないのですが、脱灰の比率が高くなると虫歯になります。
再石灰化しますよね?と時々おっしゃる方がいますが、目で見て虫歯だと判断されるものは、ほぼ再石灰化で回復出来る分を通り越して、自然に治癒することは無いと思います。
と言うことはつまり、虫歯は現状維持か進行するかどちらかになります。
なので、虫歯だという診断をされて、治療が必要だというステージに入っていれば、速やかに治療をした方が治療回数が少なくて済みます。
小さな虫歯だと、少し削って詰めるという処置で一度で済む場合も多いです。
もう少し大きくなると、削る範囲も増えて金属などを入れる型取りが必要になる場合があります。
そうなると、治療回数は2回になります。
そのステージを超えると、歯の神経を取るような治療になります。
そこまで進むと、治療回数は格段に増える上に歯へのダメージは相当なものになります。
少し話は逸れますが、当院では、大体患者さんの多くは3、4ヶ月に一度、歯科検診に来てもらうことが多いです。
なので、1年に3、4回来院してもらう形です。
この事を踏まえると、治療が長引くくらいにまで虫歯を放っておくと、歯科検診に来ている人の約1年分に相当するくらいの回数分、歯科医院に通わなければならない計算になります。
年に数回歯科検診に来てもらい、小さな虫歯は早めに検診で発見して治療をして、来院数や歯へのダメージを減らせるのが理想的なパターンですね。
そう考えると、学校歯科健診は定期的に歯科医院に通うきっかけになれば良いですよね。
そういう意味合いも少しあるのではないかと個人的には思います。
最後に歯科医院に行ったのはいつ?
ですが、色々な環境の子がいます。
中には、抜歯寸前までの虫歯がある子も。
去年にも歯科医院に行くように通知を出しても、放置しているようでした。
この状況が何故生まれているのか?
生徒自身が、歯科医院に行きたくないのか。
あるいは、保護者の方が何とも思ってなかったり行かせないようにしているのか…
名古屋市は、高校生から医療費がかかります。
なので、高校生以降からの歯科検診の受診が途切れるパターンもちょくちょくあります。
そういったことも影響があるのかもしれません。
ただ、口腔内にやましい事がある生徒は、なかなか口を開けたがらなかったり躊躇ったりする様子が見られるそうで…
こんな若いうちから、抜歯になるような虫歯が出来てしまう環境は、口の中の環境や家庭環境なども含めて色々な意味でも今後心配になりますね。
『歯科治療を受けさせない』というのもネグレストに当たるので、そういった事も学校側にも伝えるようにしているそうです。
そして、学校歯科健診では、確実に見えている状況では無いです。
何故なら、座った状態での対面で確認する形なのと、照明もあまり頼りになっていない状態なので見落としや、健診で見える状況よりもひどい場合なども考えられます。
或いは、その逆も。
虫歯ではなくても、『虫歯です』と紙を貰ってくる場合もあります。
『疑わしいものは疑う』という判断です。
もし、お子さんが学校等から歯科への『受診をすすめる紙』を貰ってくるようなら、早めに行かせてあげて下さい。
歯科治療で大変な想いをするのはお子さんなので、それだけは忘れないで欲しいと思った出来事でした。